2015年2月3日火曜日

今回は、コンサートのパンフレットに掲載された曲解説より。
モーツァルトの悪妻といわれたコンスタンツェについて。

 「アマデウス」という映画をご覧になったことがある方は多いのではないかと思う。その映画の中のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756~91)は、天真爛漫で、無計画、浪費家、女性好き。そしてもちろん神童ではあったが総じてクレイジーといったイメージではなかっただろうか。
  コンスタンツェ・モーツァルト(1762~1842)はモーツァルトの奥様で、悪妻だったといわれている。しかし本当に悪妻だったのか? そもそも彼女はモーツァルトとの間に6人の子どもを出産し、出産時の影響もあり長く療養生活をおくっている。そんな身体の状況で本当に悪妻だったとは信じがたい。

寝たきりの生活が長かったコンスタンツェ。モーツァルトは外出するとき彼女の枕元に必ずメッセージを残していた。たとえば、「おはよう、かわいいひと!僕の願いは、お前がぐっすり眠り、なにものにも妨げられず、突然飛び起きたりせず、身をかがめず、伸ばさず、召使に腹を立てず、次の部屋の敷居をまたがないことだ。ぼくが戻ってくるまで、家出の不愉快を節約おし。お前に何も起こりませんように!――時頃戻る、云々。」

こういう思いやりのあるメッセージが日々書ける男性が世の中にはどれくらいいるか?

方や、コンスタンツェのエピソードとしては、モーツァルトがオペラ「ドン・ジョバンニ」の初演に際し、上演2日前の夜、序曲を書き加えることになった。ただ既に疲労と眠気で起きていられなくなったモーツァルトを「1時間したら起こすから、ソファーで寝たら」と勧め、実際は彼が深い眠りに落ちている様子を傍らで見守り起こすことが可愛そうになり、少し長く寝かせ2時間後の早朝5時に揺すり起こした。それでも7時には序曲が仕上がり、本番に間に合った話が残されている。これこそ内助の功ではなかろうか。モーツァルトの能力を信じ、彼が多忙な中、ベストを尽くせる環境を用意できる賢い女性。
これらの話は、モーツァルトが亡くなり10年後にコンスタンツェが再婚した相手、G.N.v..ニッセンの執筆した伝記から引用したもので、この伝記の刊行者はコンスタンツェ本人。モーツァルトが狂人変人のように作曲業に没頭できたのは、実はこのようにお互いを思いやる夫婦愛があったからなのではと、このニッセンの伝記から推測できる。

ということなのですが、イメージ変わりましたでしょうか?

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